伴走型支援とは

伴走型支援は、深刻化する「社会的孤立」に対応するため「つながり続けること」を目的とする支援である。それは「孤立しない社会の創造」を目指す社会活動だと言える。

社会的孤立は、自分自身からの疎外(自己認知不全)、生きる意欲や働く意欲の低下、社会的サポートとつながらない等のリスクを生む。孤立が対処を遅らせることで、問題が深刻化し意欲が一層低下する。そのことで社会保障費の増大をも招く。社会的孤立のリスクは、個人の問題では済まない社会課題となっている。

「つながり」は、「いのち」や「存在」という普遍的価値を土台としている。よって伴走型支援は「生きること」に価値を見出だす。「いのち」が等しく尊いように「つながり」は、対等でなければならない。ゆえに伴走型支援は、「支える側」と「支えられる側」の固定化を乗り越える。

格差や貧困が拡大する中で「問題解決型支援」は不可欠である。ただ、日本社会が抱える困窮が「経済的困窮」のみならず「社会的孤立」であるゆえに「問題解決型支援」と「伴走型支援」は、今後の地域共生社会における「支援の両輪」として実施される。二つは、支援におけるそれぞれの機能を意味しており一体的に行われる。

問題解決型支援がそうであるように伴走型支援は、「本人主体」を尊重する。いずれの支援においても「自分からの疎外」状況にある人が、自ら人生を選び取り、自分の物語を生きることが出来るように「自律支援」を行う。その際、本人の参加が原則となる。「本人主体による自律」を応援する環境整備が「支援の両輪」の目指すものである。それは「伴走する意識」によって基礎づけられるゆえに「教え」「指導する」のではなく対話的に実施される。

伴走型支援における専門職は三つの役割を担う。第一に孤立した人と「つながる」ことである。このため知識や技術が必要となる。第二に「つなげる」ことである。「つながり」を抱え込まず、地域や他のキーパーソンへと「つながりを広げる」。伴走型支援における「つながり」は、「開かれたつながり」でなければならない。また、「つなぎ先」に問題がある場合、本人の同意がない場合には「つなげない」。専門職は、支援者目線のみならず当事者目線を尊重する。第三に「もどし、つなぎ直す」ことである。地域へ「つなげた」後も専門職は「緩やかな見守り」を続ける。再び本人が問題を抱えた場合、あるいは「つなぎ先」に問題が生じた場合、早期に「もどし」、「つなぎ直す」。「つなぎ」と「もどし」は伴走型支援の特徴である。

これまで「つながり」は企業、地域、家族によって担われてきた。しかし、不安定な雇用が増え、結果、家族が脆弱化する中で「つながり」自体が難しくなった。伴走型支援は、脆弱化した家族の機能の回復を目指す。ただし、それを「身内の責任」とするのではなく「家族機能の社会化」として実行する。赤の他人が家族機能を担い合う仕組みを地域に創るため、専門職は「対個人」のみならず「対社会」の働きを担う。

伴走型支援においては「時間」の捉え方も特徴的である。問題解決型支援は、「支援開始から支援終結」という「限られた時間軸」でなされる。「つながり続ける」ことを目指す伴走型支援は、「人生という時間軸」を持つことになる。それゆえ伴走型支援は、「共に生きる日常」を構築するため「ひとりにさせない地域共生社会の創造」へと至る。

2021年1月26日 奥田知志